医療の役割


「外来患者の病状が回復していると感じるのはどのようなときか」という調査において、実際の身体的な病状評価よりも、患者と医師との関係の善し悪しが患者の主観に大きな影響をもつということがわかっている。

先日、外来に来た若い男性患者は腰痛を訴えていた。検査結果と病状が一致しないためカウンセリングを行なってみると、なかなか友人を作ることができないことや職場での人間関係に悩む患者の姿が見えてきた。

面談の中で患者は、親に対する不満や上司に対する不満から「僕を認めてくれて指導できるような大人と出会ってみたかった。先生を父親のように思います。」と話した。

おそらく彼は求めている親像を周囲に見出そうとしていたのであろう。こうした問題点への気付きが、その後の病状軽減へとつながった。

このように、患者の求める多様なニーズに応えることが、治療の大きな第一歩となる場合がある。

複雑化する現代社会を生きる人に、病気の背景にあるストレスを克服する術を見つけ出し支援するのも医療の大切な役割である。

そして、医療を通して患者と医師がお互いに人間的な成長を体験することができれば、医療の果たす役割も一層意味深い。

従来の治療だけではなく人間性を豊かにする経験を提供できれば、医療の社会的貢献はさらに大きくなる。

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