慢性疼痛


私はペインクリニック専門医として、30年間痛みを伴うさまざまな病気の治療に携わってきた。簡単に治る痛みもあれば、あちこちの専門医を訪れているが、慢性化して治っていない患者さんも多い。

 薬や注射で治る痛みは別にして、原因のはっきりしない難治性の痛みに対しては患者さんを納得させるだけの充分な時間をとり、患者さんの性格や深層心理をのぞくような高いレベルでカウンセリングできる専門スタッフなどをそろえ、試行錯誤しながら治療しなければ、原因のはっきりしない痛みを治すことはできない。

 

 現行の医療制度の下では、専門医といえども、このように充分な時間とスタッフの必要な診療行為は採算が合わないため実現することは難しく、このことが痛みのある患者さんを苦しめている大きな原因となっている。

 この問題を解決するためには、保険診療と自費診療をあわせて使える混合診療を認めることである。遠方の医師のもとに通う交通費や時間のことを考えると、患者さんにとっては近隣に充分な対応ができる専門医があれば、経済的にも時間的にもメリットが大きい。

 

 そしてさらに痛みが慢性化しなくてすむことによって、家族を含めて長期間の苦しみから解放されることになる。

 少子高齢化が世界一のスピードで進んでいる日本にとって、医療制度の抜本的改革とは何かを、もう一度みんなで考えてみる必要がある。

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