病気と環境


大阪出身の画家でイラストレーターの黒田征太郎氏が、先日来院された。

 私と黒田氏は、二年前の911日に米国で起こった同時多発テロ事件直後に共通の友人を介して出会った。ニューヨーク在住の黒田氏は、あのテロ事件以来、現地での体験から人生や生き方を深く考えるようになったという。そのころ、私は大阪で二番目に緩和ケア病棟(ホスピス)を新しくオープンしたばかりだった。

 緩和ケア病棟では末期がんと診断された人たちが、限りある人生を有意義に過ごせるように支援している。黒田氏はここで患者さん、その家族、ボランティア、スタッフなどと共に共同の作品を作り上げたり、病棟の壁に絵を描いたりしながら、職員、患者さん、家族、ボランティアの距離を縮め、病院の新しい雰囲気作りに協力していただいている。

 今回で四回目の来院だが、病院の壁に描かれたイラストや黒田氏の温かい人間性が次第に病院の雰囲気を変えている。

 苦悩や心配を抱えた人たちが訪れる病院にとって、病院独特の重苦しい硬いイメージは良くない。病気を癒すには、森や海岸などで味わえる豊かな自然が必要で、それが心をリラックスさせる。

 黒田氏と私どもスタッフの共同作業が、少しでも病院のイメージを変えてくれることを期待している。

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