精神社会的痛み


不登校や出社拒否による頭痛や腹痛、あるいは交通事故や労災事故に遭遇した後に起こる外傷後遺症(トラウマ)などはよく知られた精神的な痛みである。

 

 しかし、最近では好景気の時代には、経済的な裕福さでカバーされていたと思われる会社や家庭内の不和、不満が、痛みとして身体に現れる場合が多い。

 不満のはけ口があったり、言葉にして言える場合は問題ないが、我慢強く、不満の表出が不得意な人は、痛みを伴う疾患として整形外科やペインクリニックを受診し、慢性的な経過をたどる傾向がある。

 このような精神社会的な要因が大きいと思われる痛みに対しては、注射や薬などでは効果が期待できないため、病院を転々とする結果となる。

 ペインクリニックにおいて一度の神経ブロック注射で効果がなければ、専門医は患者さんの表情や動作などから診断して、精神社会的要因にアプローチするカウンセリングを依頼する。

 今まで決して口にして言ったことのないような悩みに、じっくりと焦点を当てる時間と場所の確保をカウンセリングで行うことで、痛みが軽快することが少なくない。

 同時に痛みがあるために制限されている行動も、リハビリを中心とした運動療法を導入し、身体を動かし汗を流す動作で今まで閉そくしていた思考の回路が正常に機能するようになる。

 また、そうなることで今までとは異なった行動様式や思考回路が開かれ、「痛み」という複雑かつ主観的な体験から開放される。

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